農地借りる個人相場｜体験談と地域別料金まとめ

「農地を借りて野菜を育ててみたい」と思ったことはありませんか？　

本記事では、個人が農地を借りるための基本ルールから、料金相場、初心者と経験者に合う農園タイプ、選び方のポイント、そして実際に農地を借りた人のリアルな声までを丁寧に解説しています。

初めての方でも安心して取り組めるよう、年間スケジュールや必要なコスト・手間・時間も網羅。

家庭菜園に一歩踏み出したい方に最適な情報をまとめました。

個人が農地を借りることはできる？基本ルールと種類をわかりやすく解説
【最新】市民農園・民営農園の料金相場まとめ（地域別一覧付き）
農園の選び方完全ガイド｜後悔しないための5つのチェックポイント
実際に農地を借りてみた人のリアルな声｜メリット・デメリットの本音
農地を借りた後にかかるコスト・手間・時間はどれくらい？
記事のまとめ

個人が農地を借りることはできる？基本ルールと種類をわかりやすく解説

個人が「農地を借りて野菜を育ててみたい」と考えたとき、最初に気になるのが「そもそも個人で農地を借りることは可能なのか？」という疑問でしょう。

結論から言えば、農業を目的とした“農地”そのものを借りるには、一定の条件が必要であり、ハードルはやや高めです。

ただし、趣味や家庭菜園を目的とした「貸し農園」であれば、多くの個人が問題なく利用できます。

なぜ制限があるのかというと、農地には「農地法」という法律が適用され、簡単に売買や賃貸ができないからです。

たとえば、農業を本格的に始めたい人が耕作目的で農地を借りるには、農業委員会への「農地法第3条の許可申請」が必要であり、加えて「就農計画」の提出や営農実績の証明が求められる場合もあります。

そのため、一般的な会社員や初心者がいきなり農地を借りるのは、現実的には難しいのが現状です。

しかしながら、家庭菜園や体験的な農作業を希望する方にとって心強いのが「貸し農園」や「市民農園」「民間レンタル農園」の存在です。

これらは農地ではあるものの、地方自治体や民間企業が一般向けに運営しており、農地法の制限を受けない“非農地扱い”の区画として貸し出されることが多いです。

登録手続きもシンプルで、契約書の作成と利用規約の確認だけで完了することも珍しくありません。

たとえば、東京都練馬区では、市民農園を個人で借りる場合、1区画（15平方メートル）を年額5000円程度で利用できます。

これは農業ではなく「余暇活動」や「環境教育」の一環として位置づけられているため、一般市民にも開かれているのです。

また、民間レンタル農園の例として挙げられるのが「シェア畑」や「体験農園」といったサービスです。これらは都心部から郡町まで全国に展開しており、月額1万円前後で農地を借りることができます。

しかも、農具・肥料・講師・種まき指導までセットになっているケースもあり、初心者が農作業を始めるには非常に便利な仕組みです。

さらに最近では「農地を貸し出す側」と「借りたい個人」とをマッチングするプラットフォームも増えており、「お気に入り」の農地を見つけやすくなっています。

こうしたサービスは、農地を所有する高齢者や空き地を有効活用したい農家にとってもメリットがあるため、今後ますます広がりを見せると予想されます。

とはいえ、借りられる土地の種類や条件は地域によって大きく異なります。たとえば、郡町では数十坪単位で借りられる農園もあれば、市街地ではベランダサイズの家庭菜園スペースしか提供されないこともあります。

だからこそ、自分が何の目的で農地を借りたいのかを明確にし、それに合ったタイプを選択することが重要です。

たとえば、プロのカメラマンを目指す人がカメラを買うとき、いきなり数十万円の一眼レフを買う人もいれば、まずはスマホカメラで構図を学び、そこから徐々にグレードアップする人もいます。

農地の利用も同じで、「まずは気軽に始めてみる」ことで、自分に向いているスタイルが見えてくるのです。

したがって、個人が農地を借りたいと考える場合、まずは市民農園や貸し農園といった“始めやすい場”からスタートするのが現実的な選択肢です。

そして、もし本格的な就農を視野に入れているなら、農業法人への就職や研修制度などを活用して、ステップアップしていくのが理想的です。

このように、選択肢は決して一つではありません。重要なのは「自分にとってちょうどよいサイズと条件の農地を見つける」ことです。では次に、具体的にどれくらいのコストがかかるのか、地域別に見ていきましょう。

【最新】市民農園・民営農園の料金相場まとめ（地域別一覧付き）

農地を借りようと考えたとき、「実際にいくらかかるのか？」という費用面の疑問は避けて通れません。だからこそ、ここでは市民農園と民間レンタル農園の料金相場を地域ごとに比較しながら、最新の情報をもとにわかりやすく解説していきます。

まず前提として、市民農園と民間の貸し農園では料金体系が大きく異なります。

市民農園は主に地方自治体が管理しており、地域の住民サービスとして提供されることが多いため、年額数千円〜1万円程度で利用できるのが特徴です。

一方で、民間が運営する農園ではサービスや設備が充実している代わりに、月額5,000円〜15,000円程度が相場となっています。

たとえば、東京都練馬区では市民農園を年間6,000円で借りることができます。1区画15平方メートル程度で、シンプルな畝が用意されているだけの“素朴な農地”です。

水道設備やトイレが整備されている場合もありますが、利用者が持ち込む農具や資材で農作業を行うのが一般的です。

したがって、まるで「公民館の和室を借りて将棋を指す」ような、最低限の環境での“自分流の楽しみ方”が許される空間とも言えるでしょう。

一方で、同じ練馬区内でも、民間のシェア畑に登録すると、月額10,400円＋入会金11,000円という料金になります。

ただし、その費用には農具一式、肥料、指導員によるサポートが含まれており、農業の“体験型サービス”としての付加価値が料金に含まれていると考えれば納得できる金額です。

次に関西圏の例を挙げましょう。大阪市内では市民農園が年額5,000円前後、堺市や枚方市などの郊外では4,000円を切るところもあります。郡町になるほど土地の確保が容易になるため、比較的広い農園を低価格で借りられる傾向があります。

たとえば、奈良県生駒市では、30平方メートルの市民農園を年間3,000円で提供しているケースもあり、「広さと価格のバランス」で選びやすいのが地方の強みです。

一方、福岡市では市民農園の相場が年間7,000〜10,000円、民間運営の農園では月額8,000円前後の料金帯が見られます。これに加えて、入会金や管理費、資材費などの「初期費用」が必要になるケースもあるため、契約時には総額での比較が不可欠です。

このように見てくると、料金はエリアごとにばらつきがあり、「どこで借りるか」と「どんなサービスが含まれているか」によって相場が大きく変動することが分かります。要するに、「田舎のアパートは月2万円で借りられるが、都心のマンションは10万円を超える」というような不動産の事情に近いといえるでしょう。

たとえば、ある40代男性が、週末の趣味として横浜市内の市民農園を借りたケースでは、年額8,000円という負担で、夫婦で気軽に季節の野菜を育てる楽しみを手に入れました。子どもと一緒に土に触れる体験もでき、家族の会話が増えたという感想も聞かれます。

逆に、農業法人への就農を見据えて、千葉県内の広い農園を借りて試験的に栽培を始めた方は、民間農園に年間20万円近くを支払いながら、ビジネスとしての視点で運営を学んでいるとのことです。目的やスタイルによって、選択肢は大きく異なるのです。

ちなみに、市民農園は年度更新制が多いため、募集時期が限られていることも少なくありません。春先や秋口に郡町の広報や市のウェブサイトを定期的にチェックするのがおすすめです。

民間農園であれば、随時登録できる場合も多く、オンラインで空き区画を検索・予約する仕組みが整っているため、初心者には取り組みやすい仕組みとなっています。

更には、「料金が安いからといって、自分に合った農園とは限らない」という点にも注意が必要です。つまり、費用だけで判断せず、自分がどのような作業をどれくらいの頻度でできるのかをイメージしながら選ぶことが重要です。

では次に、「自分に合った農園タイプ」とはどのようなものなのか、初心者と経験者それぞれの視点から見ていきましょう。

コストだけじゃない！初心者・経験者それぞれに合う農園タイプとは？
農地を借りる際、誰もが気になるのは「費用」ですが、実際にはコストよりも“自分に合った農園かどうか”が満足度を左右する最大のポイントです。

したがって、ここでは“初心者”と“経験者”の両方の立場から、それぞれに適した農園タイプについて考えていきます。

まず初心者にとって、農地選びは「車の免許を取ったばかりの人が、どんな車を買うべきか」という話に似ています。高性能で機能が多くても、扱いきれなければ事故の元です。

それと同様に、いきなり広い農地や本格的な設備を備えた農園を選んでしまうと、管理しきれずに挫折してしまうことがあります。

たとえば、ある40代の女性が「自然とふれあいたい」という思いから市民農園に登録し、年額6,000円の区画を借りました。最初はホームセンターで買った小さなスコップと軍手だけでスタート。

ところが、周囲のベテラン利用者の手際よさに圧倒され、自分の畑だけ草だらけになってしまったそうです。しかしながら、その農園には「農園ボランティア」が在籍しており、声をかければ一緒に雑草を抜いてくれたり、作付けカレンダーの作成を手伝ってくれるサポートがあったのです。

彼女は「教えてもらえる環境」のありがたさを痛感し、半年後には自信を持って季節の野菜を育てられるようになったと語っています。

このように、初心者には「サポート体制のある貸し農園」や「農具・資材の用意が整っている農園」が適しているといえます。民間のレンタル農園であれば、種まきから収穫までガイドしてくれる講習会がセットになっていることも多く、失敗を恐れずに取り組める安心感があります。

一方で、ある程度の経験がある人や、家庭菜園に慣れてきた人は、「自由度の高い農園」や「自分の工夫が反映できる農地」を好む傾向にあります。

たとえば、郡町の空き地を農地として借りるケースでは、雑草の処理、水の確保、施肥管理なども自己責任で行う必要があります。逆に言えば、自分の栽培スタイルを自由に設計できるというメリットがあるのです。

ある60代男性は、リタイア後の趣味として空き農地を借り、独自にコンパニオンプランツを組み合わせて菜園を作り上げました。「誰にも縛られず、失敗しても誰のせいにもできない。でも、それが楽しい」と語る彼の姿勢には、まさに“農の自由”がありました。

このように、経験者には「低コストでも自由に設計できる市民農園」や「郡町の小規模農地」が向いているといえるでしょう。また、収穫した作物を販売するなど、半就農的な活動を目指す場合には、自治体の「新規就農者支援プログラム」に参加するという選択肢もあります。

こうした支援制度では、一定の作業実績と研修参加によって、より本格的な農地利用が可能になる場合があります。

ちなみに、農園選びにおいては“自宅からの距離”も重要な要素です。週1回しか通えない人が、車で1時間かかる場所に農地を借りても、通ううちに疲れてしまいます。

ゆえに、自分の生活スタイルや時間の使い方に合った農園を選択することも、実はコスト以上に大切な判断基準なのです。

更には、「どの農園にするか迷う」ときは、見学や体験イベントへの参加をおすすめします。民間農園の多くは、初心者向けの説明会や見学日を設けており、設備や雰囲気を事前に確認することで「ここなら続けられそう」と直感的に感じることができるからです。

このように、「安さ」や「立地」だけでなく、「自分に合った学びのステージ」を選ぶ感覚で農園を選ぶことが、長く続けるコツだといえるでしょう。では次に、その農園をどう選べば後悔しないのか、具体的なチェックポイントを解説していきます。

農園の選び方完全ガイド｜後悔しないための5つのチェックポイント

せっかく農地を借りるのなら、途中で「思っていたのと違った」と後悔することは避けたいところです。だからこそ、事前に確認すべきポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、実際に農園を利用した人々の経験やトラブル事例も交えながら、選ぶときに必ず見ておきたい「5つのチェックポイント」を解説します。

アクセスの良さ
まず最初に確認すべきは、「自宅からの距離と通いやすさ」です。たとえば、週末しか時間が取れない人が車で片道1時間かかる郡町の農園を借りた場合、天気が悪い日や予定が詰まった日は「今日はもういいか」となりやすく、次第に足が遠のいてしまうこともあります。

逆に、自宅から自転車で10分の市民農園を借りた主婦は、夕飯の買い物のついでに草取りをするなど、生活の一部として農作業を楽しんでいました。このように、「頻度」と「距離」は密接な関係にあり、通いやすさがモチベーションを保つ鍵になるのです。

設備の充実度
次に確認したいのは、農園にどのような設備が整っているかです。特に水道、トイレ、農具の貸出、ゴミ置き場、休憩スペースなどは、初心者にとっての“安心材料”になります。

たとえば、ある民営の貸し農園では、区画ごとに水場が用意されておらず、共用の水場まで毎回ジョウロで水を運ばねばならず、利用者の間で不満が出たケースがあります。これに対して、別の農園では、各区画に蛇口が設置されていたため、夏場でも快適に作業できると好評でした。

なお、設備が整っているほど利用料金は高くなる傾向にあります。よって、自分の求める“快適さのレベル”に応じて、必要な設備を見極めることが重要です。

契約条件と利用期間
契約の内容もしっかり確認しておきたいポイントです。市民農園は1年または2年契約で、年度ごとの更新制となっていることが多いですが、民間農園の場合は「最低6か月以上利用」や「途中解約は返金なし」といった制限があることもあります。

たとえば、春に始めたものの夏の暑さで体調を崩し、秋以降に通えなくなった方が、「契約は1年更新だから返金できません」と告げられて困惑したという声もあります。そのため、契約書をよく読み、更新・解約・利用停止の条件を事前に理解しておくことが大切です。

教えてくれる人がいるかどうか
農作業が初めての人にとって、「聞ける人がいるかどうか」は農園選びの決め手になります。すなわち、どれほど立派な農地があっても、誰にも相談できなければ不安が募るばかりです。

たとえば、シェア畑などの民間農園では、登録時にサポーターが付いてくれたり、定期的な講習会が開催されるため、利用者同士が情報交換をする文化が育っています。これは、いわば“地域の畑版サークル活動”のようなもので、社会的なつながりも生まれる空間です。

一方、自治体運営の市民農園ではサポートがなく、利用者同士の距離感がバラバラなこともあります。したがって、自分が「誰かと交流しながら育てたいのか」「静かに一人で作業したいのか」という性格面も考慮して選ぶとよいでしょう。

農園の雰囲気と管理状況
最後に、実際に現地を見学して「農園の雰囲気」を確認することをおすすめします。というのは、写真やウェブの説明だけでは分からない情報が多く、たとえば隣の区画との境界があいまいだったり、放置された雑草だらけの区画が目立つ農園では、管理体制が整っていない可能性もあります。

ある利用者は、ウェブ上で「キレイな写真」に惹かれて契約したものの、現地に行ってみると実際はゴミが散乱し、隣人とのトラブルが絶えなかったと話しています。逆に、多少古くても管理人の見回りが頻繁にあり、利用者マナーの良い農園は、長く続けられる安心感があるのです。

ちなみに、見学時には「自分が農作業をしている姿を思い浮かべられるか」という視点も大切です。まるで賃貸住宅を選ぶときに「ここで朝コーヒーを飲む自分」が想像できるかを考えるように、農園でも“未来の自分”が自然に浮かぶ場所を選ぶと、長続きしやすくなります。

これら5つのチェックポイントを意識することで、自分にとって本当に合った農園選びがしやすくなります。では次に、実際に農地を借りてみた人たちが感じたリアルなメリットとデメリットについて見ていきましょう。

実際に農地を借りてみた人のリアルな声｜メリット・デメリットの本音

農地を借りるという選択には、期待と不安が入り混じります。だからこそ、実際に貸し農園や市民農園を利用している人たちの体験談に耳を傾けることで、自分の選択に対する具体的なイメージを持つことができます。ここでは、メリットとデメリットの両面から、リアルな声を紹介していきます。

まずはメリットについてです。最も多く聞かれるのは、「季節を感じながら過ごせる時間が増えた」という感想です。たとえば、会社員の男性が都内の市民農園を週末に利用したケースでは、日々パソコンの前に座っている生活の中で、土をいじることが唯一の“心の解放”になったといいます。春にはじゃがいもの芽が出て、夏にはトマトが赤く実り、秋には落ち葉の匂いに包まれる。こうした自然との触れ合いが、ストレスの緩和やリフレッシュにつながっているという実感があるそうです。

また、別の事例では、親子で貸し農園を利用している家庭の話があります。小学生の子どもと一緒に種まきや水やりを行うことで、親子の会話が増え、「野菜はスーパーで買うもの」だった認識が、「自分で育てるもの」へと変わっていったといいます。すなわち、家庭内の教育的な効果も期待できるのです。

更には、地域とのつながりを得られたという声もあります。市民農園を利用していた高齢の女性は、「同じ畝を使っている他の利用者と自然と会話が生まれ、近所づきあいが増えた」と話しています。このように、農園は単なる農地ではなく、交流の場や“ゆるやかなコミュニティ”としての役割も果たしているのです。

しかしながら、当然ながら良いことばかりではありません。多くの人が口をそろえるデメリットの一つが、「思ったよりも手間がかかる」という点です。たとえば、「土日は農作業で潰れてしまい、趣味としての負担が大きく感じられた」という声も少なくありません。特に、真夏や梅雨時期には草取りや水やりが大変で、身体的にもきついと感じる人が多いです。

また、収穫のタイミングを逃してしまった結果、トマトが割れてしまったり、ナスが硬くなってしまったりと、「成果が思い通りにいかないこと」もデメリットとして挙げられます。これは、農業が自然相手の営みであることを実感する瞬間でもあります。たとえば、ある初心者の方は、せっかく収穫した大根が“す”が入っていてガッカリしたものの、それが次の挑戦へのモチベーションになったといいます。

尚、隣接区画の利用者とのトラブルも、少数ながら存在します。「畝の境界線が分かりづらく、うっかり相手の区画に植えてしまった」「放置された区画から雑草の種が飛んできた」といった事例は、特に市民農園でよく聞かれます。こうした問題は、管理体制がしっかりしている農園では少ない傾向がありますが、事前に見学しておくことで回避できることもあります。

ちなみに、収穫した野菜の保存や消費に困るという声もあります。「思ったよりたくさん取れて、家族だけでは食べきれなかった」という状況に陥った人は、近所や職場に配るなどして対応していました。ある意味、それもまた“収穫の喜び”の一部かもしれません。

こうした体験談から分かるのは、「農園の利用には現実的な手間や失敗が伴うが、それ以上に得られる満足や学びがある」ということです。すなわち、農地を借りるという行動は、単に野菜を作るためだけでなく、生活の価値観を豊かにする“体験”そのものでもあるのです。

では次に、農地を借りた後に実際どれくらいの作業量やコストがかかるのか、年間スケジュールを見ながら整理していきましょう。

農地を借りた後にかかるコスト・手間・時間はどれくらい？

年間スケジュールで解説
農地を借りるとき、多くの人が「借りたら終わり」と思いがちですが、実際にはその後にかかるコスト・手間・時間の把握が非常に重要です。なぜなら、年間を通してどのような作業が発生するかを理解していないと、途中で続けられなくなったり、期待していた成果が得られないからです。そこで本章では、年間スケジュールの流れに沿って、実際の作業量とコストのイメージを整理していきます。

まず、春（3月〜5月）は「農園のスタート準備期」にあたります。この時期にやることは、耕運（耕す作業）、畝立て（うねだて）、堆肥や元肥の投入、そして種まきです。たとえば、都内で市民農園を借りている方は、春にホームセンターでスコップ、クワ、肥料、苗をまとめて購入し、初期費用として約1万2千円ほどを使いました。更には、軍手や長靴など、農作業に必要な基本道具をそろえるための出費も忘れてはいけません。

この時期の作業時間は、週末ごとに2〜3時間程度の作業を見込んでおくと安心です。耕す作業は重労働のため、家族で分担したり、農園主が管理する耕耘機サービスを使う人もいます。すなわち、労力をかけるか、費用を払って代行してもらうかの選択が迫られる場面です。

次に、夏（6月〜8月）は「管理と収穫のピーク期」です。草取り、水やり、病害虫の対処など、地味でこまめな作業が続きます。逆に言えば、この時期の丁寧さが収穫量に大きく関わります。たとえば、ミニトマトを育てていた女性は、梅雨時に2週間農園に通えなかったことで、実が割れてしまい全滅した経験があります。その後は「水は命」と実感し、朝の出勤前に立ち寄る習慣が身についたそうです。

とはいえ、毎日農園に通うのは難しいという人も少なくありません。その場合、民間農園で提供されている「水やり代行サービス（1,000円〜3,000円／月）」の活用も一つの選択肢です。このように、手間を減らすためのオプションには一定の費用が発生します。

秋（9月〜11月）は、「収穫と整理の時期」に入ります。ナスやピーマンなどの夏野菜が終わり、次の作付けに向けた畑の片付けや追肥、そして秋冬野菜（大根、白菜、ほうれん草など）の種まきを行います。この時期に一番かかるのは「判断力」です。つまり、夏野菜をいつ抜き取るか、冬野菜をいつ植えるかというタイミングが、成果の出来不出来に直結します。

また、収穫した野菜の保存や処理にも時間がかかります。ある主婦は、大根を5本も一度に収穫してしまい、冷蔵庫に入りきらず、切干大根や味噌漬けを作ることになりました。このように、収穫の喜びは同時に“保存の手間”を伴うこともあるのです。

冬（12月〜2月）は、農園の活動が比較的落ち着く期間です。ただし、全く手間がないわけではありません。土づくりの準備や片付け、使った道具のメンテナンスが必要です。特に農具のサビ止めや保管状態を良くしておくことは、来季のスタートに大きく影響します。たとえば、鍬の柄が割れてしまい、春に買い直す羽目になった人もおり、オフシーズンの管理も決して侮れません。

尚、年間を通じてかかるコストとしては、農園使用料（市民農園で年3,000円〜10,000円／年、民間農園で月5,000円〜15,000円）以外に、苗・肥料・農具・消耗品・サービス代などで年間3〜5万円程度が目安です。逆に言えば、この範囲の支出で季節ごとの収穫と体験が得られると考えれば、趣味やレジャーとしては比較的コストパフォーマンスの高い選択といえるでしょう。

ちなみに、「忙しくて不安」という人は、最初の1年間はミニサイズの区画を選ぶのが賢明です。作業負担を抑えつつ、年間スケジュール全体を体験することで、次年度以降の見通しが立てやすくなります。

このように、農地を借りた後には、計画性と柔軟な対応が求められますが、それによって得られるものもまた大きいのです。次は、この記事のまとめとして、全体を振り返りながら整理していきましょう。